ベンチャー企業を望みますか?

こんにちは。クリエイティブデザインラボの岩崎です。
就活の話を聞いていると、「安定しているところ」とか「コンサルティングファーム」のほかに、「ベンチャー」という声を聴くことがあります。

昨今は起業することも珍しくなくなった上、「堅苦しくない」「私服」「自由」「成長」というようなキーワードを連想させる働き方が非常に魅力的に映るようです。
同時に、昔ながらの企業や、一般的知名度という意味でメジャーではない会社を軽んじる意識を感じさせる学生もいます。

どのような業界・業種を好み、どういった企業を選ぶかは学生の自由ですが、しかしベンチャー崇拝というか至上主義的な思考でそこしか見なくなるのは、とてももったいないことだなと思います。

そんな就活生に聞きたいのは、「そんなにベンチャー企業って魅力ですか?」ということ。



その魅力はホンモノ?

Macbookを筆頭として、コンパクトで高性能なノートパソコンを携え颯爽と活動し、打ち合わせでもパソコンをぱちぱち。
好きな私服に身を包み、スタイリッシュなミーティングをやって、有名駅周辺のタワービル内のオフィスで仕事を進める。
会社は業績を伸ばし、その中で自分にも決済や判断の権限を幅広く与えられ、同年代に比べて高い給料をもらい・・・・

はっきり言って、こんなイメージのように活動しているベンチャーはまずないです。全国の中で、一握りいるかいないか程度です。

しかし、経済紙の特集などで若い経営者がフューチャーされ、成功した若手経営者は巨万の富を得ている姿を見れば、ベンチャー企業にはとても夢が盛りだくさんなイメージを持ちます。

それは間違いないですが、夢が盛りだくさんなのはベンチャーに限った話ではありません。
まして、これまで経営を続けていた企業ならともかく、設立間もないベンチャー企業は金銭的・人材的な資源が弱く、夢や期待以上にリスクが大きいだろう、というのが私の感覚です。

あと、ベンチャー企業で儲かっているのは、創業者もしくは役員までの共同経営者くらいです。そこにいる社員に対して株などのストックオプションを付けたりするケースはありますが、金銭的に著しく優遇されることは少ないでしょう。

「お金じゃない。一緒に成長したいんだ!」という考えならそれはそれでアリですが、あなたの求める成長スタイルとその企業の成長の実態が一致するとは限らないのでご注意ください。
ましてベンチャーは前例やしがらみがなく、経営者の判断が即座に反映されやすいので、急転換するようなこともあるでしょう。
その際に経営陣に文句を言ってはいけませんよ。

「自由」「成長」といったキーワードはとても魅力的ですが、それにはとてつもないリスクと自己責任が付いて回ります。



企業はなぜ人を雇う?

企業が人を雇うのは、「事業に必要だから」ですよね。

当社クリエイティブデザインラボは現在創業3期目ですから、いうなればバリバリのベンチャーです(笑)
従業員はいません。仕事仲間はいますが、上下のない対等な関係です。従業員がいないのは、必要ないからです。
基本的に、今のところ自分一人で回せる仕事量ですし、人手が必要になっても横に仕事をお願いする・・つまり仲間に仕事を回すことはあっても、「部下にやらせたい」というような意識はありません。
事務のようないわば「時間はかかるけど誰でもお願いできそうなこと」はその時にお願いするだけです。

では、ベンチャーが人を雇うのはなぜでしょう?
もちろんベンチャーといってもピンきりです。サイバーエージェントのようにどんどん世の中の役に立つサービスを開発して急拡大、急成長して、従業員が相応に高額の給与を得ている会社もあります。
又は、高純度なスキルを持ったエンジニアがアプリ開発をやるような会社もあります。

すごく単純に考えると、ベンチャーが人を必要とする時は、

  • 経営者と同等に近い、もしくはそれ以上の専門的スキルを持つ人を入れて強化を図る
  • 誰にでもできる仕事を回す作業員として、頭数が欲しい

になります。

ちなみに頭数といっても100人とかではなく、5人とかでも十分頭数。余計なことを考えず、経営者の言うことを安い給料で聞いてくれる、いわば兵隊として動いてくれるならそれでOK。

そして残念なことに、「ベンチャー目指しちゃうぜ!」という学生の8割近くが後者の毒牙にかかります。
つまり、ベンチャーって戦略的成長に必要でない限り、優秀な人材を必要としていないんですよね。



ベンチャーって楽?大変?

これもよく聞かれるのですが、楽か大変かというのは、その人次第です。いや、マジで。
創業したばかりの会社というのは、本当に何もありません。
社会的信用もない、安定もない、やり方もない、ルールもない。

そうなってくると、自分たちで一つひとつ作っていくしかない。
ですから、「今月売上ないので来月の給料厳しい!」みたいのもあってもおかしくない。それがベンチャー。
やり方知らなくてお客様に怒られるなんて当たり前にある。それがベンチャー。

でも、その分サバンナに放り出された状況でわが身を鍛えるような成長はできます。
自分たちで作り上げていくことが面白いという方は、とてもいいステージでしょう。

ですから、ベンチャーという言葉が欲しくて、でも新卒だからって仕事をわかり易く教えてもらえて、毎月の給料が保証されているところがいい!なんて考えの方はベンチャー志すのやめた方がいいです。

わかり易く言うと、あなたが美容師としてどこかのヘアサロンに就職したとして、「閉店後に道具自由に使って練習しな」と言われた時、「終電あるし、疲れたし、早く帰りたい」と思うか、「めちゃめちゃ練習できる。独立に近づく!」と考えるか、という感じです。



 

あえてベンチャー企業の悪いところを

経営者の方針にもよりますが、企業にとって生命線の一つは「売上を伸ばすこと」です。
そして、その売り上げを伸ばすのに、一般的に必要と考えられるのが「営業」です。
太陽光パネルの戸別訪問も営業だし、保険の飛び込み営業もそうだし、家電量販店の販売員も全部営業です。

専門的スキルのある経営者もしくは経営陣の場合、商品開発ができれば売るものがあるので、次は売る相手が必要です。創業間もないベンチャー企業では、いかに営業するかが重要なカギですから、やり方としてはとにかく営業人員を抱えて、低く固定給を設定して、あとはインセンティブ(売れた額から、取り決めた割合を報酬とする)にしてとにかく売らせます。

古めかしいやり方ですが、これはこれでまだ現役の手法です。
売れなければ、そんな人はやめてもらえばいい。活きのいい人をまた雇用して営業させる。売れれば企業も営業もハッピーですからね。

さて、あなたがやりたいのはこんな仕事ですか?
もちろん、営業力を養う目的があるなら問題ないです。でもおそらく出てくる言葉は「こんなはずじゃなかった」でしょう。

大学で経営学を学び、それがいかせると思って意気揚々とベンチャーに飛び込んで使いつぶされる学生は、驚くほどに多い。
何をしたいのか、何を生かしたいのかを考えることなく、ベンチャーという言葉に引き寄せられただけ、ただそれだけの判断が招いた結果です。



自分が何をしたいのかを考えよう

私自身、誰かを雇用しようとは思っていません。

ですが、色々な人に将来的に仕事をどんどんと振っていきたいと考えています。だから私は、外注費を増やしていきたい。これが当社のビジョンのひとつです。
これがわかっていれば、当社に応募してくる人はいないですよね(笑)

それと同じで、その会社の将来ビジョンをしっかりと調べて欲しいのです。
経営者が何を考え、どのようい会社を成長させていきたいのか、その為にどんな人員が欲しいのか。
あなたが学んだ専門性を、将来的に活かせるビジョンがあるのか。
そして、その「将来」までにたとえ給料が大きく下降しても、それで良しと思える覚悟があるのか。

考えればキリはないですが、最終的に言えるのは、望まない結果になったとしてもそれが自己判断の結果だといえるのか、ということです。

あなたは本当にベンチャー企業を望みますか?
本当に望むなら、志望する会社を徹底的に調べてみてくださいね。
あくまで、自己選択・自己判断・自己責任であることをお忘れなく。





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