小学生のオンライン学習導入が進まないのは親の無知が原因

こんにちは。
クリエイティブデザインラボの岩崎です。

緊急事態宣言が出されて、様々な会社でテレワークが導入されてきています。こういった事態になれていないのが日本人ですからヘタしたら数日で飽きてしまう懸念もありますね。実際に、不要不急の外出を抑える自粛要請がされていたのに、3月の3連休では外出する人が続出し、この記事を執筆現在、毎日東京都の感染者数の最高数字を更新しています。

そんな中、日本政府は2月の終わりから全国の小中学校には学校を閉鎖するように要請。
全国の小学生たちは春休みを前に狂喜乱舞し、その親たちを絶望に突き落としたわけです。

しかし、そうはいっても勉強しないのは決していいことではない。
学校はやってない以上、何らかの形で勉強させなければならない。

そんな親の多大なストレスと、勉強しない子どもへの焦燥感と、将来性への危惧と、学びの機会の確保のため、ある一部の親たちが

オンライン授業やれや!

と声を上げ始めています。
いや、声を上げるとかかわいいものじゃないですね。落ち着けよ、って言いたくなるくらい血眼になって騒いでいるような、そんな印象すら受けます。

しかしこれ、大きな問題を孕んでいます。
どこを対象にオンライン授業を進言するのか。それによってとてつもない怖い本性が引きずり出されています。



オンライン学習ってなに?

そもそもオンライン学習とは何でしょう?
これは、インターネット上で、ZOOM等の相互コミュニケーションツールを活用し、先生が行っている授業を生または録画で配信。子どもたちは自宅にいながらパソコン上で授業を受けるというものです。
家にいながら学校の勉強ができるとあっては、まさにオンライン学習は新しい学習の形。

ちなみに、2020年以降の学校教育は大きく変化をします。各教科書の単元ごとにQRコードが付き、動画内でその単元を解説する、というものです。
こうすることで、これまで大きな課題であった『先生の力量による教え方のばらつき』をなくし、同じことを教え、先生がファシリテートする方向へ大きく舵を取ることになります。
従ってオンライン学習そのものは決して悪いことではないんです。むしろ、これからの事を考えれば、このタイミングでオンライン学習を試験的にも導入すべきでしょう。

しかし、これには大きな問題があるのです。そしてこれは、親である私たちがオンライン学習を知るうえで理解しなければいけない問題だと思います。
同時に、これは強烈に資本主義社会だな、とも思わせる事実があるのです。



オンライン学習に潜む問題点

オンライン学習には大きな問題がありますよ、というのは前述の通りですが、そこには以下のような問題がります。
公立小中学校と私立小中学校は違う
公立小中学校に通う子供は様々
対面と場面では大きく違う
というものです。

そして『公立小中学校に通う子供は様々』にはさらに4つの問題に分類されます。
それでは解説していきましょう。

 

公立小中学校と私立小中学校は違う

公立小中学校と私立小中学校は同じ学校でありながら、言ってしまえば全く別物です。
そもそも、小中学校に子どもを通わせることは親の義務であり(たまに子どもの義務だと勘違いしてるバカな親がいますが全く違いますよ)、国は平等に教育の機会を提供するために公立の小中学校の制度を整えています。
そして、それよりも良い教育や、親の思想や考え方に合わせた学校に通わせたいと思う場合、私立という選択肢があります。そして、その私立は公立の学校に比べ授業料がかかり、またその学校に相応しい児童・生徒なのかを判断するために、『入試』というものがあります。
制約はあれど、比較的自由度が高く、使える予算が公立の学校よりも多いのが私立の特徴ですから、私立の学校がいち早くオンライン学習の環境を整えることができるのはよくわかります

それが私立なんです。いい教育・最前線の教育を受けたければ、私立を選択するしかないのです。
それが資本主義の世の中です。そして、そのフットワークの軽さや判断の速さを公立の小中学校に求めてはいけません。
なぜなら、公立の小中学校に求められるのは

教育の機会の平等
だからです。
機械の平等とは何か、はこれから書きますが、これを理解せずにオンライン学習を公立の小中学校に導入させようと騒いでる親は本当に多いですね。

公立小中学校に通う子供は様々

で、ここからが大切なことです。
ここでは『教育の機会の平等』について触れていきますね。
前述のように、公立の小中学校は私立をまったく事情が異なります。そして、そこには様々な子が通っています。
ですから、言ってしまえば『そこに通うすべての子どもたちが等しく学べる最低限度のライン』を保持しなければなりません。
そして公立の小中学校には養護級や支援級といった、発達の関係で学習支援が必要な子どもが通っています。
そうすると、オンライン学習の導入には下記のような問題にぶち当たります

 

オンライン学習と貧困

間違ってはいけないのは、オンライン学習はインターネットを使用するわけですから、通信料がかかります。
今でこそインターネットは当たり前の環境になっていますが、それでもお金はかかります。とくに今のご時世、貧困の家庭は多く、そしてこのコロナ問題でより多くこの問題を抱える家庭が出てくる可能性もあります。
インターネットを引きたいけどできない家庭も多いでしょう。(引く為には工事が必要で、それが賄えないケースも)
もしくは、例えばパケット50GB使い放題とか、無制限とかのために通信料を割りましすることのできない家庭もあるでしょう。
そうなったら、オンライン学習を受けることはできません。つまり、その機会を与えられないのです。
オンライン学習を導入するには、この問題を解決しなければなりません。
騒いでる人が機材導入含めて全額負担するなら解決します。

 

オンライン学習と知的障害

純粋に、日常生活にところどころ支障があって、パソコンやタブレットの使用法を完全に理解するには少しIQが足りない子は、オンライン学習を受けることが難しいでしょう。
親と一緒にやればいい、親が解説してあげればいい、という意見もありますが、それならすべての家庭でそうすればいいだけの話です。オンライン学習である必要はない。

 

オンライン学習と発達障害

ADHDやアスペルガー、自閉症といった発達障害には程度の差はありますが、学校に通っている子供は多いです。
そして発達障害の内容によっては
環境が変わると勉強とみなせない
方法が変わると落ち着かない
画面内では集中が続かない
等といった問題があります。だからこそ、こういった子どもには専門の教員が対面で、わかりやすく、その子に合わせた学習方法で学習をしています。
知的障害と同じ問題ですが、これをどうするというのでしょうか。

 

オンライン学習と学習障害

発達障害の一つですが、IQにもコミュニケーションにも問題はないが、識字に支援が必要だったり、ひとつひとつを理解しながら進まないと思考が止まってしまうといった、一つの事柄において支援が必要な子どももいます。
クラスの中で、実際の授業であれば手を挙げて、先生が進捗を確認しながら進めるなどの対応が可能ですが、子ども一人ひとりの顔を把握しながら進めることがまだ難しいオンライン学習においては、完全に置いてけぼりになる恐れがあります。
上記に非常に似通った問題ですが、これをどうするというのでしょうか。

 

対面と画面では大きく違う

私は本職の一つが人材育成のコンサルタントで、企業研修などを手掛けているので、対面での重要性を十分に理解しています。
受講生の視線やしぐさ、表情である程度の理解度は把握できます。それだけ、対面でいることは多くの情報のキャッチボールが実現できます。

その方法しか大学で学ばず、また現場でも教室という空間でやってきた先生に、オンライン学習への移行を突然求めても、これまでの質を維持するのは難しい。もちろん、それを承知で、最初は拙くてもまずはやるべきだと思います。
しかし、オンライン学習導入に血眼になっている親が果たしてその拙さを容認するでしょうか。
前例がないから手探りで始めても、これまで同様の質を求め、今度はその拙さを攻撃するような気がしてなりません。

オンライン学習を導入するにあたっては、『これまでとは全く違う学習形態なのだ』とまず親が理解することが必要です。



オンライン学習騒ぎであぶりだされる本性

ここからは過激な発言になります。
このオンライン学習については、導入を騒ぐ親は『まずはできる子どもたちに対して!』と思っているかもしれませんが、それはあまりに残酷です。クラスで金銭的な問題で受けられない子がいたら、それこそいじめにつながりかねません。
そしてその思考の中に支援級のことが入っていないのであれば、認識の有無にかかわらず学習に関する差別です。

『子どもたちの学習のため』とオンライン学習に血眼になる親の思考の本性は『自分の子どものため』だと思っています。
そしてそんな親が『思いやりを持つ子になりなさい』とか『相手のことを考えられる人になりなさい』とか子どもに教えているのだとしたら、ゾッとしませんか?
Facebookなどでオンライン学習に対してものすごい勢いで提言している人を見ると、私はこのような考えを持たざるを得ないのです。


オンライン学習の今後

間違いなく、オンライン学習は今後、今以上にウエイトを占めてきます。
資格試験だったり、大人の学習に活用されてきた学びの方法ですが、これからを生きる子供たちには、より身近な学習方法になるでしょう。
ですから、皆が平等にこの機会を与えられる必要があります。

ではどうすればよいのか。この答えはまだ私の中でまとまっていませんが、やるとすれば絶対少人数でしょう。
そして、オンラインと対面を同じだけ取り入れる。また、学習用タブレットを登録制(例えばマイナンバー入れないと起動しないとか)にし、そこにかかる通信料は自治体が負担するという形です。ちなみに、落札方式で事業者を選定、さらに他県の業者でないと参入できないとかにすれば、癒着の防止と適正な競争原理が働くかなーとも思います。

あとは、オンラインではなく教育委員会選定の、県内の小学生に共通の問題集を生徒に配布し、地方のテレビ局の枠で解説番組を流すとかでも対応できるのでは?と思います。

オンライン学習は素晴らしいものです。
しかし、それが無意識に自分よがりのことに利用してはいけませんし、まして学習機会の差別になってはいけません。
本当に、勉強のやり方は大きな曲がり角になっていると思います。



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