時代の変化を感じさせる記者会見

こんにちは。
クリエイティブデザインラボの岩崎です。

先日、ある男性アイドルの方この（以下：てぃ氏）が所属事務所を退所した旨を伝える記者会見がありました。
今回は、その記者会見の模様と、そのあとにワラワラと出てくるいい年した大人の感想をみて感じた、時代の変化について書いていきます。

彼の記者会見の内容は、まさしくこれからの時代を象徴するような出来事でした。

 

記者会見を視聴して

このてぃ氏の記者会見ですが、ご存じの方も多いと思いますが、テレビ中継ではありませんでした。
てぃ氏は事前に自身のyoutubeチャンネルを解説。中継はそのyoutubeチャンネルで行うという、まさしく今の時代らしい、そして従来のテレビ関係者にとってはこれ以上にないほど面白くない、面目丸つぶれの記者会見でした。

この会見で面白いと思ったのは、youtubeチャンネルでのライブ配信もそうですし、何より一般人の質問を受け付けたこと。
これまでの芸能人の記者会見というのは、ワイドショーなどでおなじみの通り、テレビカメラが撮影して、編集して流したい部分だけ放送していました。
つまり、テレビ局側のやり方次第で善人にも悪人にも仕立て上げることができるわけです。
かつてこのやり方で社会的に抹殺されたアイドルや芸能人はたくさんいます。

ところが、今回は完全生中継。しかもネットということでテレビ局はどうしようもできません。
誘導的な質問や、相手に恥をかかせようにもそれらも全部見えてしまうから心理的にも難しい。
そしててぃ氏は一般人の意見も取り入れることで、まったく新しい形を作り変えてしまったわけです。

もちろん、テレビ局側としてはこんな対応は面白くない。
なにより、話した内容もあまりにしっかりと下準備をされていた上に生中継されているから、意図的に悪人にも仕立て上げられない。しかも、『雇われている人には理解できない』内容。

これは明日のニュースでは必死に悪者に仕立てにかかるな、と思いました。

 

どうすればバッシングは起きなかった?

案の定、翌日のニュースやワイドナショーでは、特に年かさの上の人たちが苦言という名で中身のない文句や不満を展開。
結構多かったのが「結局何を言いたいのかよくわからない」という意見でしたが、その意見の発信者である芸能人や文化人もまた、どんな論立てて文句を言っているのかよくわからない人が多かったですね(笑)

では、てぃ氏の記者会見がそう言った人たちに『よかった』を言われるにはどうしたらよかったのか。
簡単です。まず、迷惑の非礼をわび、自分に責任があると明言し、脱退したグループに謝罪をし、てぃ氏が自らを責めるような内容を話せばよかったのです。
わかりますか?一般人には大して謝る必要もないのに無駄に謝罪し、所属事務所にひたすら感謝をするという、非常に卑屈で鬱屈して下手にでて、従属的な記者会見になっていればよかったのです。

相手を下に見下すことができる記者会見であれば、高齢のテレビ関係者は満足したでしょう。

非常に古式ゆかしい日本人気質ですね。
これからの時代に、真っ先に先行き不安になる集団です。

早い話が、思考特性が古すぎて最早聞く耳を持つ必要すらない意見なのに、それに気づかず一生懸命てぃ氏に物申す気分で中身のないことを垂れ流しているだけなのです。まさに老害(笑)

 

これからの時代の記者会見だった

てぃ氏の発言の中で、『自分の影響力を最大化したい』『早くやりたい』ということがありました。
これからの時代は自己発信の時代です。ですから、大きなところに所属して云々というよりは、自らの判断で発信をしていく能力が問われる時代です。
しかし、終身雇用の時代に生きてきた人にはこれは理解できません。わからない、だからわからないことを怒りに変換してバッシングする、という構造。

次に、記者会見は芸能レポーター他、テレビ関係者と芸能メディアのものという概念をぶっ壊したことも斬新でした。テレビカメラは収録だけ、質問は一般人のも答える・・・これは暗に、『もはやテレビにへーこらするスタンスではない』というてぃ氏のメッセージだったのではと思います。

収録→編集よりもライブ放送の方が早いし、すべて伝わりますから、テレビは最早記者会見の出がらしを料理するしかなかった。
今の時代でもなお自分たちの土俵だと勘違いしているテレビ関係者は面白くない。その不満をバッシングにする、という構造。

つまり、新しいものが多すぎた。
そしててぃ氏の話は、ステージが違えば自らビジネスを起こして世の中を席捲しているかもしれない人の話のような内容でした。
テレビは利用され、置いてけぼりにされた。
ネットは活用され、ともに走り出した。

そんなイメージを持たざるを得ない記者会見でした。
まさしく、これからの時代の芸能活動だし、これからの時代の記者会見だったでしょう。
ライブ中継すれば都合悪いところを切り取られても、それが意図しない内容であれば反論材料ができる。
マスコミなんかの力を借りなくても、SNSで集客もできる。

テレビの時代の終焉と、それに気づかない情報弱者の姿に気づかされました。
これからの芸能人の生き残りは、随分と見方が変わりそうです。

 

すべてが完ぺきだったわけではないがそれでいい

記者会見に苦言を呈している人の話をよく聞いていると、2時間に及ぶ内容の中の一言二言の揚げ足を取ることに終始していたことにお気づきでしょうか。

そうなんですね。それしかないんです。それ以外では「何を言いたいのかわからない」という曖昧な意見しか出てこない。
あれだけ長丁場です。ましてあの若さ。完璧なはずがない。
もちろん、人の尊厳を傷付けたり、何かしら大きな混乱を招くような失言はだめです。

しかし、事務所を退所して数日でここまで用意周到にステージを用意できるてぃ氏です。大きな失言をするわけがない。それだけの準備は完璧でしょう。
言ってしまえば、あえて失言ともとれる言葉すら、彼の作戦だったのかもしれません。

この問題でいったい何がそれほどに騒がせるのか。それは、新時代のやり方を引っ提げてきた、得体のしれない若者に対する恐怖が根底にあるのかもしれません。
これまでの常識が通用しなくなような、そんな可能性すら垣間見せる彼の存在は、これから面白いことになるかもしれません。

私としては、またイッテQにただただ出てほしいものです。